タイの割増賃金の計算方法について

今回のコラムでは残業代、休日出勤といった割増賃金が発生する場合の月給労働者への給与計算方法について解説します。

 

根拠条文

割増賃金に関する規定は労働者保護法第5章に記載されています。

 

通常の労働日の時間外労働について

第61条(一部抜粋)

雇用者が被雇用者を労働日に時間外労働に従事させる場合、雇用者は労働時間に従い労働日の時間当たり賃金の1.5倍以上の時間外労働手当を支払う。

 

休日労働について

第62条(一部抜粋)

雇用者が被雇用者を第28条、第29条又は第30条に基づき休日労働に従事させる場合、雇用者は被雇用者に対し以下の割合で休日労働手当を支払う。
(1)休日に賃金を受け取る権利を有する被雇用者に対しては、労働時間に従い労働日の時間当たり賃金の1倍以上の賃金を追加して支払う。

 

休日の時間外労働について

第63条(一部抜粋)

雇用者が被雇用者を休日時間外労働に従事させる場合は、雇用者は、労働時間に従い労働日の時間当たり賃金の3倍以上の休日時間外労働手当を支払う。

 

ケーススタディ

Aさんは月給30,000THBで働く月給労働者です。雇用契約上、1日8時間勤務、週40時間勤務、週休一日と定められておりますが、月~金曜日に出勤し、土日は休みです。

Aさんの5月の勤務実態は以下の通りです。

  • 5月5日は祝日でしたが、休日出勤し8時間働きました。
  • 5月18日は日曜日でしたが、休日出勤し10時間働きました。
  • 5月30日は2時間残業しました。

Aさんが支給される残業代(手当)はいくらでしょうか?

 

まず前提として、Aさんは月給労働者なので、一日当たりの賃金は30,000THBを30日で除して計算します。その月が31日の月であっても28日の月であっても30日で除すのがタイのルールです。また、30日で除すことからもわかるように、Aさんは平日だけでなく休日についても給料を受け取っているという立てつけになります。

 

5月5日のケース(休日出勤)

Aさんの時給:30,000THB÷30日÷8時間=125THB

休日出勤は8時間だったので、125THB×8時間=1,000THB

休日に賃金を受け取る権利を有する被雇用者に対しては、労働時間に従い労働日の時間当たり賃金の1倍以上の賃金を追加して支払う。

この条文に則り、通常の月給に加えて5月5日は1,000THBの手当が発生します。

 

5月11日のケース(休日出勤かつ休日時間外労働)

休日出勤した10時間のうち、8時間は先ほどのケースと同じく、125THB×8時間=1,000THBを支給します。

雇用者が被雇用者を休日時間外労働に従事させる場合は、雇用者は、労働時間に従い労働日の時間当たり賃金の3倍以上の休日時間外労働手当を支払う。

休日時間外労働にあたる2時間については、前述の条文に則り125THB×2時間×3倍=750THBを支給します。

したがって、5月11日は1,750THBの手当が発生します。

 

5月30日のケース(残業)

雇用者が被雇用者を労働日に時間外労働に従事させる場合、雇用者は労働時間に従い労働日の時間当たり賃金の1.5倍以上の時間外労働手当を支払う。

2時間残業したので、125THB×2時間×1.5倍=375THBの手当が発生します。

 

これを表にまとめると下記の通りです。

定時 残業
平日 基本給に含まれる 時間ごとに1.5倍を支給
休日 時間ごとに1倍を支給 時間ごとに3倍を支給

 

 

その他、給与や個人所得税関係については、下記記事をご参照ください。

基礎知識について▶『タイでの個人所得税の基礎知識

税率について▶『タイ税金のすべて~ビジネスを行う際に知っておくべき税金~

課税対象所得について▶『タイの個人所得税~対象となる所得~

控除項目について▶『タイ個人所得税の控除項目