タイ個人所得税の控除項目

日本では年末調整があるため会社勤めの方が確定申告を行う機会は少ないかと思いますが、タイで就労している外国人は全員が確定申告を行う必要があります。

今日は、個人所得税の確定申告について、控除項目の観点から解説します。

 

控除項目について

一部年度によって変わることがありますが、2025年1月~3月にかけておこなう2024年分の確定申告における控除項目は以下の通りです(クリックで拡大)。

 

 

このうち、読者のみなさんの多くに関係すると思われる部分を補足します。

配偶者(所得なし)・.扶養控除

納税者本人が暦年で180日以上タイに滞在している(タイ居住者である)場合、配偶者ないし扶養控除が適用できます。

ショッピング減税

ショッピング減税は、年末ごろに内閣によって承認され、翌年の年始から一定の期間で実施されます。詳細は年ごとに異なりますが、2024年分だと2024年1月1日~2月15日の期間に購入した物品の金額やサービスへの支払額を50,000THBを上限として控除できるというものです。その際、E-Tax Invoice/Receiptの取得が控除の要件となっています。

タイ国内旅行控除

2024年5月1日~11月30日が対象期間で、ツアーガイド、ホテル宿泊費、ホームステイ宿泊費などが控除できるというものです。都市部ではなく、あまり観光客が訪れないような地域への旅行が対象で、ショッピング減税同様E-Tax Invoice/Receiptの取得が必要です。まだ期間内ですので、詳しくは歳入局のページからご確認ください。

社会保険控除

タイで従業員として就労している場合、日本人であれば毎月750THBが社会保険料として給与から控除されています。12カ月丸々タイで就労していた場合は、750THB×12カ月=9,000THBの控除が可能です。ダイレクター等、被雇用者とみなされない場合には社会保険に加入できないので、社会保険控除は適用できません、。

スーパー・セービング・ファンド(SSF)控除

Super Saving Fund、略称としてSSFと呼ばれますが、社会保険もSSFと呼ばれるため混同しないようにご注意ください。

SSFの特徴は以下の通りです。

  • 最低保有期間は10年間
  • 毎年購入する必要はない
  • 年間所得の30%未満、かつ年間20万THBまで購入可能

退職投資信託控除(RMF)控除

Retirement Mutual Fund、略称としてRMFと呼ばれています。

RMFの特徴は以下の通りです。

  • 年1回以上の購入が必要
  • 最低購入額は年間所得の3%か5,000THBのどちらか少ない方で、購入額は毎年異なってもよい
  • 年間所得の30%まで購入可能
  • 2年連続で購入を休んではならない(1年おきの購入は可能)
  • 満55歳かつ投資期間が満5年(購入しなかった年は数えない)にならないと売却できない

 

その他、個人確定申告関係については、下記記事をご参照ください。

基礎知識について▶『タイでの個人所得税の基礎知識

税率について▶『タイ税金のすべて~ビジネスを行う際に知っておくべき税金~

課税対象所得について▶『タイの個人所得税~対象となる所得~