Part 1ではP.N.D.50の1枚目について、Part 2ではItem 1とItem 2について、Part 3ではItem 3からItem 8について解説しました。
今回はBS科目である資産、負債、純資産に関するItem 9をはじめとするP.N.D.50の6ページ目や、7ページ目の記載内容について解説します。
6ページ目
赤枠で囲まれているのがItem 9です。Item 9ではBS科目が記載されています。
資産の部
- 流動資産
(1)現金・預金
(2)売掛金(純額)
(3)棚卸資産
(4)その他流動資産(1~3以外) - 固定資産
(1)関連会社、役員、株主、従業員への長期貸付金
(2)土地、建物(純額)
(3)その他有形固定資産(純額)
(4)賃借権
(5)その他固定資産(1~4以外)
負債及び純資産の部
- 流動負債
(1)金融機関からの当座借越および短期借入金
(2)買掛金
(3)借入金
(4)その他流動負債(1~3以外) - 固定負債
(1)長期借入金
(2)その他固定負債 - 純資産:発行可能株式総数___バーツ
(1)発行済みおよび払込済み株式資本
(2)その他
(3)□利益剰余金 □累積損失
Item 2からItem 8まではPL科目だったので、非課税事業と課税事業に分けて記載するようになっていましたが、Item 9はBS科目なので事業ごとに分けて記載する必要はありません。
Item 9の下、水色の枠で囲われている部分はP.N.D.50と一緒に提出されるその他の書類に関する記述です。
- P.N.D.50(追加申告の場合は改めて提出する必要があります)
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
- 年次報告書
- 監査報告書
法定監査人から以下の意見が表明された:
(1)無限定適正意見(2)限定付適正意見(3)意見不表明(4)不適正意見
監査会計認定報告書で監査人は下記の通り書き記した:
(5)例外なし (6)例外あり
監査会計認定報告書は資本金500万バーツ以下、総資産が3,000万バーツ以下、総収入が3,000万バーツ以下の、タイ法に基づいて設立された登録パートナーシップに限る。 - 歳入法典第71条2に基づき相互に関連する会社または法人格を有するパートナーシップの年次報告書(ディスクロージャーフォーム)
- その他
中でも7のディスクロージャーフォームに注意が必要です。これはタイの移転価格税制に基づき、売上が2億バーツ以上の法人は提出が義務付けられています。対象企業は移転価格文書の作成も求められます。
7ページ目
黄色の枠で囲まれているのは、「取締役の宣言表明」です。
社名、決算年度について記載したあと、法人の状況について回答していきます。
- 商品、サービス、不動産の販売、融資、不動産の賃貸を無償で、または市場価格を大幅に下回る対価で行った。
- 現実的な価格を大きく上回る金額で資産(付随費用やサービス料を含む)を購入している。
- 債務者または債権者が見えない、または見えていてもその数が現実的な状況を大幅に上回っている。
- 3期にわたって純損失が出ているにも関わらず、事業を拡大した。
- 源泉税を送金した。
1~4については、答えが「はい」の場合には理由を記述します。5は答えが「いいえ」の場合に理由を記述します。
緑の枠で囲まれているのは「監査人の宣誓表明」、ピンクの枠で囲まれている箇所では法令遵守しなかった場合の罰則について記載されています。
4回にわたって法人税確定申告書の見方について解説してきましたが、いかがでしたか?
その他、法人税関係については、下記記事をご参照ください。
タイ税金を網羅的に把握▶『タイ税金のすべて~ビジネスを行う際に知っておくべき税金~』
法人税の基礎知識▶『タイでの法人税の基礎知識』
損金不算入経費▶『タイでの節税対策~費用、損金とは?損金不算入経費削減で節税効果~』
申告書の見方▶『法人税確定申告書の見方について Part 1』
決算期の注意事項▶『タイ法人の決算期の留意事項』
※P.N.D.50のフォームは歳入局のページからご確認いただけます。