前回のコラムではP.N.D.50を構成する項目のうち、Item 1(税額の計算表)とItem 2(課税所得の計算表)について解説しました。
今回はItem 2の計算根拠となるItem 3からItem 8について解説します。
3ページ目(Item 2からの続き)
青色の枠で囲まれているのがItem 3です。Item 3では売上総利益を算出するうえでの売上原価を計算します。
- 期首棚卸高
- 仕入高
- 製造原価(Item 4の17の数字が入ります)
- のれん、著作権、その他ロイヤルティ
- その他仕入に係る諸経費
- 3から5の合計
- 1+2+6
- 期末棚卸高
- 売上原価(7-8)(Item 2の2に飛びます)
4ページ目
このページにはItem 4、5、6について記載されています。
黄色い枠で囲われているItem 4では、製造原価を計算します。
- 期首原材料棚卸高
- 原材料の仕入れ高
- 原材料の仕入れに係る諸経費
- 1から3の合計
- 期末原材料棚卸高
- 原材料の原価
- 期首仕掛品棚卸高
- 労務費
- のれん、著作権、その他ロイヤルティ
- 燃料費や電気代
- 包装費
- 減価償却費
- その他製造経費
- 8から13の合計
- 6+7+14
- 期末仕掛品棚卸高
- 製造原価(15-16)(Item 3の3に飛びます)
水色の枠で囲われているItem 5ではその他収益を計算します。
- 固定資産売却益
- 為替差益
- 受取利息
- 受取配当金または利益配分
- 税金の払戻し
- 1~5以外の収益
- 1~6の合計(Item 2の4に飛びます)
黄緑の枠で囲われているItem 6ではその他費用を計算します。
- 固定資産売却損
- 為替差損
- 支払利息
- 1~3以外の費用
- 1~4の合計(Item 2の6に飛びます)
5ページ目
このページにはItem 7と8について記載されています。
ピンクの枠で囲われているItem 7では販管費を計算します。
- 人件費
- 役員報酬
- 水道光熱費、電話代
- 旅費交通費
- 荷造運賃
- 家賃
- 修繕費
- 交際費
- コミッション、広告宣伝費、販売促進費
- 特定事業税(地方税含む)
- その他税金
- 支払利息
- 会計報酬
- 監査報酬
- 政党への寄付金
- 公益への寄付金
- 教育、スポーツへの寄付金
- コンサルタント料
- その他経費
- 貸倒引当金
- 減価償却費
- 1~21以外の経費
- 純利益の10%を超えない範囲で2回控除できる経費
- 1~23の合計
深緑色の枠で囲われたItem 8では損金不算入費用を計算します。
- 法人税
- 交際費
- 貸倒損失
- 留保金
- Item 7の23に基づく経費
- その他費用と認められない経費
- 1~6の合計(Item 2の11に飛びます)
交際費については全額が損金不算入となるわけではなく、総売上と資本金のいずれか大きい額の0.3%(ただし上限1,000万THB)までは損金算入可能です。
貸倒損失についても、一定の要件を満たすことで損金算入することが可能です。
次回、Item 9と最後のページの内容について解説します。
※P.N.D.50のフォームは歳入局のページからご確認いただけます。
その他、法人税関係については、下記記事をご参照ください。
タイ税金を網羅的に把握▶『タイ税金のすべて~ビジネスを行う際に知っておくべき税金~』
法人税の基礎知識▶『タイでの法人税の基礎知識』
損金不算入経費▶『タイでの節税対策~費用、損金とは?損金不算入経費削減で節税効果~』
申告書の見方▶『法人税確定申告書の見方について Part 1』
決算期の注意事項▶『タイ法人の決算期の留意事項』