タイの駐在員事務所の基礎知識

タイに進出する主要な方法としては現地法人の設立が挙げられますが、今回は駐在員事務所の基礎知識について説明したいと思います。

現地法人に比べ、駐在員事務所は下記のような特徴があります。

 

駐在員事務所のメリット

通常の法人であれば、基本的に外国人駐在員1名を配置するためにタイ人従業員4名を雇用する義務が発生します(BOI恩典を保持している会社などは例外があります)。

一方で駐在員事務所の場合、外国人駐在員1名に対しタイ人従業員1名の雇用のみで済むため、人件費を抑えることが可能になります。そのため、まずは最低限の費用でタイにおいて市場調査を行ないたいケースなどに向いています。

また、駐在員事務所の外国人駐在員のVISA、ワークパーミット手続きは、通常のイミグレーションオフィスではなくOne Start One Stop Investment Center(OSOS)にて毎年の延長手続きを行ないます。OSOSはVISAとワークパーミットの手続きを同時に行なえること、アクセスの良いバンコク中心部にオフィスがあることなどから比較的簡単にVISA、ワークパーミット手続きを行なうことが出来ます。

 

駐在員事務所のデメリット

駐在員事務所に認められている活動は下記に限定されています。

  1. 本社がタイから商品、サービスを購入する場合の調達先の選定。
  2. 本社がタイから商品、サービスを購入する際の性能、分量チェック並びにコントロール。
  3. 本社がタイへ販売する商品、サービスに関する助言を本社へ提供すること。
  4. 本社の新商品、サービスなどに関する情報の普及活動。
  5. タイの市場調査を行ない本社へ報告を行なうこと。

売上を立てるなど、上記以外の活動については駐在員事務所として行うことが出来ません。

 

駐在員事務所と現地法人の共通点

上記のように駐在員事務所は現地法人と異なる点がありますが、同じ手続きが必要となる点もあります。例えば、タイの現地法人は必ず年1回の法定監査を受ける必要がありますが、駐在員事務所もこれは同様です。また、駐在員事務所は売上を上げることが出来ないにも関わらず、通常の現地法人同様に法人税の中間申告及び確定申告を行なう必要があります。

このように駐在員事務所のランニングコストは人件費以外ではあまり現地法人と変わらない点もあり、設立前の予算作成時に注意が必要です。