タイで事業を行なうと避けて通れないのは税務当局である歳入局(Revenue Department)とのやりとりです。歳入局担当官には税法上多くの権限が与えられており、タイでは様々な場面で歳入局からの税務調査(Tax Audit)が行われます。今回は税務調査官に与えられている権限と一般的に行われる税務調査のプロセスについて解説していきたいと思います。
タイで税務調査が発生するパターンは主に3つに分類できます。
1. 無作為に選ばれた法人が簡易的な調査を受けるもの
無作為とは言え、法人設立直後のタイミング、赤字が続いている時期、住所変更を行なったタイミングなどに多く見られます。
2. 主に税還付(源泉税、VAT)を申請した際や法人清算時に受ける調査(Audit on specific tax issues)
税還付申請を行なった場合にはほぼ必ず税務調査を受けることになります。税務調査対応には相応の時間的、経済的コストが発生する他、還付申請を行なっていた税目とは別の税目も調査され、思わぬ追徴課税が科される場合もあります。そのため還付申請を行なうかの判断は慎重に行なう必要があります。
3. 歳入局が法人に対し税務上の瑕疵があったとの疑いを持って行う調査(Summons Audit)
税務調査時に歳入局担当官に与えられる権限は下記のようなものがあげられます。
- 資料の作成や提出を要求できる権利
- タイ語に翻訳させる権限
- 申告書の数値を訂正する権限
- 数値の変更に基づき納税額を決定する権限
- 無償取引や低廉取引の際市場価格で取引されたとして「みなし課税」を計算する権限
- 追徴課税額を決定する権限
法律上このような権限が担当官に与えられているため、見解の相違が生まれることに繫がります。税金の徴収は法律に則り適正に行わなければなりませんが、歳入局内には徴収目標のような数字があると噂されています。そのため担当官ごとに判断も異なることが多く、同じような状況でも前回の税務調査ではは許容されたのに今回は駄目という場合も見受けられます。
いかがでしたでしょうか。もしお時間が許すようでしたら、タイの税金を網羅的にまとめた次の記事も併せてご確認ください!!