申告書の見方について解説するシリーズの第七弾です。
今回は法人税中間申告に用いるP.N.D.51という申告書の見方について解説します。
第一弾:法人税確定申告書の見方について
第二弾:VAT申告書の見方について
第五弾:海外送金に係る源泉税申告書の見方について
第六弾:サービス輸入に係るVAT申告書の見方について
法人税の中間申告は、半期決算から2カ月以内が申告期限です。例えば12月決算の会社の場合だと、6月末が半期決算なのでそれから2カ月の8月末が中間申告の申告期限となります。他の税務申告同様、電子申告の場合は申告期限が8日延長されます。
1ページ目
左上は法人情報について記載します。詳細はP.N.D.50をご参照ください。
オレンジの枠の部分
会計年度について記載します。
例:2025年1月1日~2025年12月31日(タイなので年月日は日本と逆順です。)
□(1)通常申告 □(2)追加申告___回目
黄緑の枠の部分
中間納付額を記載します。
赤い枠の部分
バーツ以外の通貨を機能通貨としている場合、ここで納税額(及び延滞税額)を納税日の全営業日におけるタイ中央銀行の仲値でバーツ転します。
2ページ目
紫の枠の部分
使用通貨について
□バーツ □その他(明記)
ピンクの枠の部分
税金の計算方法と納税方法
□1. 純利益見積り額の半分 □2. 半期の純利益
半期の純利益をベースに中間申告する企業は、「上場会社、商業銀行法による商業銀行、またはファイナンス業、証券会社またはクレジットフォンシエ会社、または会社もしくはパートナーシップ法人で局長が基準、方法および条件を定めるもの」と規定されているため、一般の企業の多くは「1. 純利益見積り額の半分」をベースに申告します。『歳入法典第67の2条(2)』
ここで見積もった純利益が実際所得よりも25%以上低かった場合、「合理的な理由」が無い限り、縫納税不足額に対して20%のペナルティを課されます。
一方で実際所得が見積額を下回った場合、ペナルティはありませんが過剰納付分は還付請求対象になります。
紺色の枠の部分
Item 1 課税標準額の算定
1. 歳入法典第67の2条(1)に基づき、純利益見積り額の半分から税金を支払う場合
(1)当会計期間における費用控除前の総収入または売上高の見積額
(2)当会計期間の見積り費用を控除
(3)差引 □見積り純利益 □見積り純損失
(4)5年間の繰越欠損金を控除
(5)法律により免除される見積り純利益の控除
(6)差引 □課税対象となる純利益 □純損失
(7)見積りの半分 □課税対象となる純利益 □純損失
2. 歳入法典第67の2条(2)に基づき、半期の純利益から税金を支払う場合
(1)□純利益 □純損失
(2)5年間の繰越欠損金を控除
(3)法律により免除される純利益の控除
(4)□課税対象となる純利益 □純損失
3. 費用控除前の総所得から税金を支払う場合
半期の費用控除前の総収入
黄色の枠の部分
Item 2 課税所得および税額計算
1. 見積額の(1)課税対象となる純利益 (2)純損失(Item 1 1. (7)より)
2. (1)課税対象となる純利益 (2)純損失(Item 1 2. (4)より)
3. 費用控除前の所得(総所得金額から税金を支払う場合)(Item 1 3より)
4. 課税計算
(1)一般的なケース
(2)軽減税率 □SME □15% □10% □8% □5% □3% □その他特に指定なし
(3)歳入局から総所得から税金を支払う承認を受けた場合
(4)法律により所得税が免除される場合 □全額免除 □一部免除
算出された税額
5. 控除
(1)源泉徴収税
(2)通常税率の50%を超えない税額控除
(3)P.N.D.51で支払済みの税額(追加申告の場合)
6. 残りの税額 □追加納税 □過剰納付
7. 追徴課税(該当する場合)
8. 合計税額 □追加納税 □過剰納付
その他、法人税関係については、下記記事をご参照ください。
タイ税金を網羅的に把握▶『タイ税金のすべて~ビジネスを行う際に知っておくべき税金~』
法人税の基礎知識▶『タイでの法人税の基礎知識』
損金不算入経費▶『タイでの節税対策~費用、損金とは?損金不算入経費削減で節税効果~』
申告書の見方▶『法人税確定申告書の見方について Part 1』
決算期の注意事項▶『タイ法人の決算期の留意事項』
※P.N.D.51のフォームは歳入局のページからご確認いただけます。

