タイでは12月決算の法人が大部分を占めており、12月決算の法人は決算日から150日以内にあたる5月末が法人税の申告期限です。
今日はBOI事業とNon-BOI事業がある場合の法人税の計算方法について解説します。
BOI企業の法人税の計算方法については、1987年2月5日の歳入局告示が基礎となっています。
BOI事業とNon-BOI事業はまず別々に利益(損失)を算出し、その後一定ルールで合算する、というものです。
以下、実際の計算方法について簡単な数字を用いて説明します。
前提条件
- BOI事業:法人税免税期間中のBOI奨励事業
- Non-BOI事業:通常の課税事業
- 税率:20%
ケース1:BOI事業もNon-BOI事業も黒字
| 区分 | 税務上の純利益(損失) |
| BOI事業 | 10,000,000 |
| Non-BOI事業 | 4,000,000 |
| 合計 | 14,000,000 |
この場合課税対象となるのはNon-BOI事業の利益4,000,000THBのみです。
法人税:4,000,000THB×20%=800,000THB
告示は、BOI事業とNon-BOI事業がともに黒字の場合、Non-BOI事業の純利益について法人税を納めるとしています。
ケース2:BOI事業の赤字<Non-BOI事業の黒字
| 区分 | 税務上の純利益(損失) |
| BOI事業 | (3,000,000) |
| Non-BOI事業 | 8,000,000 |
| 合計 | 5,000,000 |
この場合、BOI事業の赤字をNon-BOI事業の黒字と相殺でき、課税対象となるのは差引5,000,000THBです。
法人税:5,000,000×20%=1,000,000THB
告示は、Non-BOI事業の利益がBOI事業の損失を上回る場合、合計純利益に対して法人税を課すとしています。
ケース3:BOI事業の赤字>Non-BOI事業の黒字
| 区分 | 税務上の純利益(損失) |
| BOI事業 | -10,000,000 |
| Non-BOI事業 | 6,000,000 |
| 合計 | -4,000,000 |
Non-BOI事業単体は黒字でも、BOI事業との合算後に純利益がないため、法人税は発生しません。
告示は、合算後に純利益がない場合、Non-BOI事業単体に純利益があっても法人税を納めないとしています。
ただし、このケースではBOI事業の損失について、免税期間後に繰越せる金額(繰越欠損金の額)の検討が必要になります。
ケース4:BOI事業の黒字>Non-BOI事業の赤字
| 区分 | 税務上の純利益(損失) |
| BOI事業 | 12,000,000 |
| Non-BOI事業 | -5,000,000 |
| 合計 | 7,000,000 |
BOI事業とNon-BOI事業合算後は黒字ですが、法人税は発生しません。
告示により、BOI事業の利益がNon-BOI事業の損失を上回る場合、合計純利益全額について法人税免税を受けるとしています。
Non-BOI事業の損失は繰越欠損金として翌期に持ち越すことはできないので注意が必要です。
ケース5:BOI事業もNon-BOIも赤字
| 区分 | 税務上の純利益(損失) |
| BOI事業 | -4,000,000 |
| Non-BOI事業 | -2,000,000 |
| 合計 | -6,000,000 |
この場合、当然ながら法人税は無いですが、BOI事業とNon-BOI事業とで欠損金を分けて管理する必要があります。
補足:欠損金の扱いについて
上記のケースは期首欠損金残高ゼロの前提でした。
BOI事業の繰越欠損金が2,000,000THB、Non-BOI事業の繰越欠損金が2,000,000THBそれぞれある場合、法人税の計算はどうなるでしょうか?
ケース1:BOI事業もNon-BOI事業も黒字
| 区分 | 金額 |
| 当期BOI利益 | 10,000,000 |
| 当期Non-BOI利益 | 4,000,000 |
| 期首BOI欠損金 | 2,000,000 |
| 期首Non-BOI欠損金 | 2,000,000 |
BOI事業については、期首BOI欠損金を当期BOI利益に充当するため、BOI欠損金残高はゼロになります。
Non-BOI事業については、欠損金を控除します。
| 計算 | 金額 |
| Non-BOI利益 | 4,000,000 |
| Non-BOI欠損金 | -2,000,000 |
| 課税対象利益 | 2,000,000 |
したがって、BOI事業もNon-BOI事業も繰越欠損金残高はゼロになります。
ケース2:BOI事業の赤字<Non-BOI事業の黒字
| 区分 | 金額 |
| 当期BOI損失 | -3,000,000 |
| 当期Non-BOI利益 | 8,000,000 |
| 期首BOI欠損金 | 2,000,000 |
| 期首Non-BOI欠損金 | 2,000,000 |
まず、Non-BOI事業の利益からNon-BOI事業の欠損金を控除します。その後当期のBOI事業の損失を控除します。
| 計算 | 金額 |
| Non-BOI利益 | 8,000,000 |
| Non-BOI欠損金 | -2,000,000 |
| 控除後Non-BOI利益 | 6,000,000 |
| 当期BOI損失控除 | -3,000,000 |
| 課税対象利益 | 3,000,000 |
Non-BOI欠損金は全額控除するので期末残高ゼロ、当期発生分BOI損失も全額控除するので期末残高ゼロ、BOI欠損金2,000,000THBが翌期に繰越せます。
ケース3:BOI事業の赤字>Non-BOI事業の黒字
| 区分 | 金額 |
| 当期BOI損失 | -10,000,000 |
| 当期Non-BOI利益 | 6,000,000 |
| 期首BOI欠損金 | 2,000,000 |
| 期首Non-BOI欠損金 | 2,000,000 |
まず、Non-BOI事業の利益からNon-BOI事業の欠損金を控除します。その後当期のBOI事業の損失を控除します。
| 計算 | 金額 |
| Non-BOI利益 | 6,000,000 |
| Non-BOI欠損金 | -2,000,000 |
| 控除後Non-BOI利益 | 4,000,000 |
| 当期BOI損失控除 | -4,000,000 |
| 課税対象利益 | 0 |
Non-BOI欠損金は全額控除するので期末残高ゼロ、BOI事業に係る欠損金は当期発生分BOI損失で控除しなかった6,000,000THBと期首BOI欠損金2,000,000THBの計8,000,000THBが翌期に繰越せます。
ケース4:BOI事業の黒字>Non-BOI事業の赤字
| 区分 | 金額 |
| 当期BOI利益 | 12,000,000 |
| 当期Non-BOI損失 | -5,000,000 |
| 期首BOI欠損金 | 2,000,000 |
| 期首Non-BOI欠損金 | 2,000,000 |
この場合、当期Non-BOI損失は当期BOI利益と相殺しますが、BOI事業から生じる利益は免税なので、課税対象利益はゼロです。
| 計算 | 金額 |
| BOI利益 | 12,000,000 |
| Non-BOI損失 | -5,000,000 |
| 合算後利益 | 7,000,000 |
| 課税対象利益 | 0 |
当期Non-BOI損失は当期BOI利益に吸収されるので繰越欠損金にはならず、期首Non-BOI欠損金は当期使用していないのでそのまま繰越せます。
一方期首BOI欠損金は当期BOI利益に吸収されるため、BOI事業の繰越欠損金残高はゼロです。
ケース5:BOI事業もNon-BOIも赤字
| 区分 | 金額 |
| 当期BOI損失 | -4,000,000 |
| 当期Non-BOI損失 | -2,000,000 |
| 期首BOI欠損金 | 2,000,000 |
| 期首Non-BOI欠損金 | 2,000,000 |
この場合、どちらの事業も赤字のため、それぞれの欠損金が積み上がります。
BOI事業の期末繰越欠損金は6,000,000THB、Non-BOI事業の期末繰越欠損金は4,000,000THBです。
まとめ
BOI企業の場合、BOI事業とNon-BOI事業の計算を分けて行う必要があり、欠損金の管理も別々で行う必要があります。
