【解説】海外送金に係る源泉税について

今日は海外送金に係る源泉税PND54を取り扱ったタックスルーリング0706/10177について解説します。

PND54とは

タイから海外に送金する際、その内容によってタイ側で源泉税(PND54)を納付する必要があります。

課税対象となる所得は下記の通りです。

  1. 歳入法典第40条(2)に基づく手数料またはその他の所得
  2. 歳入法典第40条(3)に基づく著作権、文学、芸術、科学作品に対する使用料
  3. 歳入法典第40条(3)に基づく特許料、ノウハウ
  4. 歳入法典第40条(3)に基づくその他のロイヤリティ
  5. 歳入法典第40条(4)(a)に基づく銀行、保険会社、その他類似の事業に支払う利息
  6. 歳入法典第40条(4)(a)に基づくその他の利息
  7. 歳入法典第40条(4)(b)に基づく配当金
  8. 歳入法典第40条(4)に基づくその他の所得
  9. 海運振興法に基づく海上船舶の賃借
  10. 歳入法典第40条(5)に基づく賃借料、金銭、その他の便益
  11. 歳入法典第40条(6)に基づく自由業からの所得

タイ法人とタイ国外の法人との間で取引がある場合、上記のいずれかに当てはまると源泉税の対象となります。

※ただし個別の取引ごとに租税条約に照らし合わせて判断が必要。

 

PEとは

PEとは恒久的施設(Permanent Establishment)の略称で、「PEなければ課税なし」という言葉もあるように国際課税におけるキーワードです。

タイにおいては、歳入法典に基づき、オフィスの有無だけでなくヒトがタイでビジネスを回しているかどうかがPE認定の基準になります。

それに加えて、日タイ租税条約上ではPE認定は以下の4つに分類されます。

  • 固定施設PE:事業が全部または一部行われる固定的施設の有無
  • 建設PE:建設・据付・組み立てプロジェクト、またはその監督活動が3ヶ月以上継続
  • サービスPE:同一・関連プロジェクトにおいて12か月間のうち6か月超
  • 代理人PE:契約締結に向けた主たる役割を果たし、契約が実質修正なく成立する場合

 

ロイヤリティ VS 事業利得

ロイヤリティとは、特許権、商標権、著作権、ノウハウなどを使わせることの対価を意味します。

事業利得とは、事業が通常の事業活動で得る利益を意味します。

タイ国外の法人がタイ法人に対して役務を提供し、その対価をタイ法人が支払うときの課税関係は以下のように整理できます。

  • 事業利得(タイにPEが無い):「PEなければ課税なし」でタイで源泉税を納付する必要はない
  • 事業利得(タイにPEがある):PEに帰属する利益のみタイで課税される
  • ロイヤリティ:PEの有無は関係なくPND54で15%源泉

 

タックスルーリング0706/10177

照会内容

タイの会社がドイツのA社から技術支援・管理サービスを受けている。
サービス内容は以下の通り。

  • 技術助言
  • コンピュータやソフトウェア関連の助言
  • プロジェクト管理支援
  • 入札資料作成支援
  • タイ人技術者の研修
  • 財務・原価報告書の作成 等

契約上請求は年額だが、実務上は毎月作業時間と実費ベースで請求されていた。

この取引における支払は、ノウハウや技術を移転する対価なのか、A社が自らの専門知識を使って業務を遂行する請負的なサービス対価なのか。

 

歳入局の見解

この契約は知識の伝達ではなく、A社が自らの技術と専門性をもって業務を行い、その成果について責任を負うサービス提供(請負的役務)であるとし、この対価を事業利得にあたると判断。

A社がタイ国内にPEを有さず、タイ国外でサービスを提供している限り、この報酬についてタイで法人税を負担する義務はなく、タイ法人も源泉徴収義務はない。

 

ポイント

このタックスルーリングによって、技術的・管理的なサービス料であっても責任成果を伴う役務提供であればロイヤリティではなく事業利得として扱われ得る、という歳入局の整理が示されました。

 

まとめ

今回のタックスルーリングではドイツ法人が相手でしたが、日本法人の場合もロイヤリティと事業利得の区分という観点から非常に意義のあるタックルルーリングです。

ただし、対価が事業利得に対する支払いであったとしても、PE認定されてしまうとタイでの納税が必要になる点はご注意ください。