タイ税法上、所定の手続きを踏まずに資産を廃棄する場合には原則としてみなしVATを申告、納税する必要があります。
歳入法典付加価値税第79/3条(1)に基づき、商品販売や役務提供を無償で行った場合、または正当な理由なく市場価格より低い対価で販売・提供した場合、課税標準額は実際の取引価格ではなく、その時点の市場価格を基準に計算します。
これは、廃棄したと見せかけてVATを掛けずに売却する脱税行為を防止するためのルールであると考えられます。
また、原則固定資産除却損は損金不算入となります。
廃棄の方法別に税務対応を解説します。
【1.監査人による資産廃棄証明作成】
固定資産の廃棄時に、簿価を損金算入し、みなしVATの納付を回避するためには、以下の手続きが必要となります。こちらが歳入局タックスルーリング0706/308に基づく条件での原則的な手続きとなります。
・社内での承認手続き
・公認会計士による廃棄証明書の作成
・廃棄30日前までに歳入局へ書面で通知
この手続きを踏まずに廃棄を行うと、固定資産除却損の損金算入ができません。
ただし、公認会計士の立ち合いを依頼する場合、法定監査業務外の作業となるため別途費用が発生したり、書面の準備や関係者への連絡など煩雑な手続きが必要となったりしますので、手間を避けるために、以下の方法も考えられます。
【2.無償で譲渡(資産廃棄証明作成せずに廃棄する場合)】
固定資産を無償譲渡などで廃棄した上で、売却したとみなして売上VATを納付し、固定資産除却損を損金不算入経費として処理する方法もあります。
・固定資産除却損について、損金算入経費として処理する。
・市場価格で売却したものとして、みなしVATとして「販売していれば得られたであろう収益」の7%の金額について、廃棄月の売上VATとしてPP30に含める。
※ただし、売上VATについては実際に販売先から受け取っていないため、自社負担となる。
※また、実際には販売は行っておらず、会計上売上が立っていないものの、VAT申告書(PP30)上では売上が計上されているため、当該年度の法人税確定申告(PND50)の売上額との間に差異が生じる。そのため、社内でVAT法上の売上と法人税法上の売上の管理表を作成することで、歳入局に対して説明できる状態にしておくことが望ましい。
【3.売却】
廃棄や譲渡を行わずに、単純に売却して資産を手放す方法も考えられます。
売却の場合は、以下に注意する必要があります。
・売却価格に対する7%を売上VATとしてPP30に含めて申告する。
※ただし、市場価格で売却すること。売価があまりにも廉価である場合、税務当局から低廉譲渡であるとの指摘を受ける可能性があるためです。
・固定資産売却損について、損金算入。
・固定資産売却益について、益金算入。
上記の方法の中から、キャッシュアウトが少なく、歳入局からの指摘を受けにくい方法を選択する必要があります。
各方法について以下の表でまとめています。
| No. | 詳細 | 固定資産除却・売却損の損金算入 | VAT申告/納税 |
| 1 | 【監査人による資産廃棄証明作成】
条件:廃棄日の30日前までに歳入局へ通知。公認会計士立会いによる廃棄証明書の作成。 故障した資産、もしくは償却済み資産、
|
可
|
不要 |
| 2 | 【無償で譲渡(資産廃棄証明作成せずに廃棄する場合)】
故障した資産、もしくは償却済み資産、 固定資産除却損が少ない場合やみなしVAT額が少ない場合 |
不可 | 必要 |
| 3 | 【売却】
条件:市場価格(時価)で売却 売却益は課税対象。 使用できる状態の資産を帳簿から落す際にふさわしい方法 |
可 | 必要 |
いかがでしたでしょうか。
お時間がございましたら、固定資産関係で「固定資産の区分別減価償却期間について」のコラムもご参照ください。
