タイで会社を経営する上で避けて通れないのが法人税の申告です。
タイでは毎年中間申告と確定申告を行なう必要がありますが、申告書は全てタイ語で申告する必要があります。
フォーマットがタイ語であるため「申告前に内容を経理担当スタッフから聞き取るだけで申告書自体はチェックしていない」という方も多くいらっしゃいます。
しかし、自分で理解したと思っていた申告内容と実際の申告内容の間に差異があった場合、「後で気付いた時には既に多額の延滞税が発生していた」などということになりかねません。
そのため、今回は法人税確定申告書(書式名PND50)の大まかな見方について説明したいと思います。
なお、タイ歳入局のウェブサイトでは英訳版のフォーマットも公開していますが、現時点(2024年9月)では2016年度分までしか発表されておらず、またフォーマットは少しずつ変更されるため、今回は2023年度のタイ語版フォーマットを使用してご説明します。
https://www.rd.go.th/fileadmin/tax_pdf/cit/2566/010267CIT50.pdf
【1ページ目】
1ページ目には会社名、住所、税務番号など基本的な情報が記載され、決算情報は記載されていません。
このページでポイントとなるのは左下部(赤枠の部分)で、こちらはPND50申告に伴い発生する納税額(キャッシュアウト額)となります。
【2ページ目以降】
2ページ目以降は複数の「Item (รายการ)」ごとにセクション分けされています。
上記の赤枠で囲っている緑のボックスがItem番号になります。
これらの「Item」は大まかに下図のような構造になっています。
「Item 2」が課税所得の計算シート、そして「Item 1」が税額自体の計算シートになります。
「Item 3」から「Item 8」まではPL科目の内訳であり、「Item 9」はBS科目になります。
特に「Item 1」については1番から6番の記入箇所があり下記のような内容になります。
1番
課税所得または純損失の金額を記入します。
2番
対象となる税率のボックスにチェックを入れます。通常の税率であれば(1)を選択します。
その上で法人税額を記入します。
3番
税控除の項目が記載されているので、該当する税控除があれば記入します。特に(4)は中間申告時の納税額を記載する箇所なので、該当する会社も比較的多くなります。
4番
左側のボックスが追加納税が必要な場合、右側のボックスが控除額が法人税額を上回っている場合にチェックするボックスです。その上で金額を記入します。
5番
罰金、延滞税など課徴金が別途ある場合には記入します。
6番
左側のボックスが追加納税が必要な場合、右側のボックスが控除額が法人税額を上回っている場合にチェックするボックスです。4番と5番を合計した金額を記入します。左側のボックスをチェックした場合には、ここに記入する金額がPND50の申告において最終的にキャッシュアウトを伴う納税額になります。
その他、法人税関係については、下記記事をご参照ください。
タイ税金を網羅的に把握▶『タイ税金のすべて~ビジネスを行う際に知っておくべき税金~』
法人税の基礎知識▶『タイでの法人税の基礎知識』
損金不算入経費▶『タイでの節税対策~費用、損金とは?損金不算入経費削減で節税効果~』