法人税の基礎知識

皆様こんにちは。JGAの坂田です。

タイで法人を設立した場合、株式会社はもちろんですが、売上の発生しない駐在員事務所であっても法人税申告書の提出が義務づけられています。タイの事業運営における法人税申告手続きがどのように行われるか解説していきます。

 

法人税申告書

法人税の申告・納税の対象者はタイの法令や外国の法令に基づいて設立された法人でタイ国内において事業を営む者です。法人税中間申告(以下、P.N.D 51)と法人税確定申告(以下、P.N.D. 50)の2つの申告が必要です。

P.N.D. 51及びP.N.D.50の申告期限は以下の通りです。

 

【P.N.D.51】

e-Filing(オンライン申告)の場合 会計年度開始日から6ヵ月を経過する月の末日から2カ月+8日以内に申告、納税。
窓口申告の場合 会計年度開始日から6ヵ月を経過する月の末日から2カ月以内に申告、納税。

【P.N.D.50】

e-Filing(オンライン申告)の場合 期末から158日以内に申告、納税。
窓口申告の場合 期末から150日以内に申告、納税。

 

P.N.D.51にはタイ独特のルールがあり、その期の「年間推定所得」を計算し、予測される法人税の半額を納付します。その年間推定所得が事業年度終了時点の実際所得と比較して25%以上差異が出た場合、中間申告時点の納税額が不足していたと見做され、不足額に対し1.5%/月の延滞税や税務調査で指摘を受けた場合20%相当の罰金が科されます。中間申告時点の年間予測より上回った業績になれば喜ばしいことですが、罰金が発生する事もあるので厳密な予測をたてることが必要です。

 

P.N.D.50は全ての法人がタイの公認会計士による監査済み財務諸表を添付して申告をしなければなりません。申告書はタイ語ですが、歳入局は英語版の申告書をWEBサイトで公開しています。

 

法人税率

2024年現在の法人率は20%。中小企業特例を受け減税措置や、投資奨励委員会(BOI)の恩典により免税となる企業もあります。日本の法人税の実効税率が約30%なので日本と比較して税率はかなり低いと言えます。

 

課税所得

ポイントとなるのは法人税計算を行う際の課税所得の計算方法です。まず財務諸表から会計上の利益を計算します。会社の儲け=利益(収益-費用)ですが、この利益に対して法人税を乗じるのではなく、法人税法上の課税所得(益金-損金)に対して法人税を乗じます。一般的には会計上の利益と税務上の利益(課税所得)は一致しません。

会計上は経費になるものでも税務上は損金として認められないものも多く、下記のように異なるケースが多く発生します。会計上は黄色、税務上は青色のボックスをご参照下さい。

前述の通り法人税を計算するうえで会計上の利益から損金不算入経費を控除する必要があります。支出のうち会計上は経費になるが税務上の損金不算入経費となる例は下記のようなものがあります。


損金不算入経費の一例

  1. 引当金(貸倒引当金、退職給付引当金)
  2. 限度額を超える交際費
  3. 私的な費用
  4. 罰金、延滞税等
  5. 他の会計期間に計上すべき費用
  6. タイの事業に関連しない費用
  7. 受領者の証明ができない支出
  8. 架空の費用
  9. 相当額を超えた給与、報酬
  10. 利益獲得活動に関連しない費用

⑦受領者の証明ができない支出などはタイで発生する損金不算入経費の代表例です。キャッシュセールと表記された文房具店などで販売されている領収書等で、日付や金額のみが記載されている書類については販売者の特定ができないため、税務上は損金不算入として取り扱うことになります。

 

タイには損金として認められない支出の種類が日本より多くあります。実際にお金を使っているのにもかかわらず、損金として認められないとその分多くの法人税を払う結果になってしまいます。そのため、タイで事業を行う際はタイのルールに則り無駄な法人税の発生を避ける工夫が重要となります。